日向神話の世界

日向神話館

青島は、「海幸・山幸」の舞台となった
神話のふるさとですが、当神社の境内に
日本で初めての蝋人形神話館「日向神話館」が
平成十二年の元旦にオープンいたしました。
日向の地への天孫降臨から、海幸・山幸の物語、
そして神武天皇による大和平定までを
三十体の蝋人形と十二の場面で再現しております。
又、元巨人軍の長嶋監督と
日向之国七福神も合わせて特別展示しております。

第一景

ニニギノミコト、アマテラスオオミカミに命じられ、天降る
昔々のお話です。雲の上のまだずっと高くの神様の国で、この日本を造った神様たちがお話をしていました。
アマテラスオオミカミという一番えらい神様が、(自分の孫の)ニニギノミコトという神様にいいました。「この稲の穂と神の三つの宝の鏡・曲玉・剣をもって地上に降りていきなさい。そして、日本の国がもっといい国になるように頑張ってきなさい。」それでニニギノミコトは神様の国を離れて、筑紫の日向の高千穂という場所に降り立ったのです。

第二景

コノハナサクヤヒメ、火中の産屋で出産する
高千穂に降り立ったニニギノミコトはその近くに家を建てて住んでいましたが、そこでとても美しい女の人に出会いました。ニニギノミコトは、その美しい姫(コノハナサクヤヒメ)と結婚したいと思い、姫の父親にお願いしました。
父親は「姫を嫁に欲しいのなら、姉(イワナガヒメ)の方も一緒にもらってくれ。」といって二人の姫をくれました。
ところが、ニニギノミコトは美人ではないお姉さんを「いらない。」と家に返してしまいました。
返された姫は大変腹をたてて「神様の子も人の子も、生きているものは必ず死んでしまうようにしてやる。」と呪いをかけました。
さて、ニニギノミコトと結婚したコノハナサクヤヒメのお腹には赤ちゃんができました。
しかしニニギノミコトがそのことを喜ばなかったので、コノハナサクヤヒメはとても悲しんで、「この赤ちゃんが本当にあなたの子ならきっと生き残るでしょう。」といって自分の部屋に火をつけてしまいました。
メラメラと燃える火の中で生まれてきたのが、ホノスソリのミコト(ウミサチヒコ)・ヒコホホデミノミコト(ヤマサチヒコ)・ホノアカリノミコトの三人です。

第三景

ウミサチヒコとヤマサチヒコ
火の中から産まれてきた三人の子供のうち、お兄さん(ホノスソリノミコト)は海で釣りをするのが上手だったのでウミサチヒコ呼ばれ、弟(ヒコホホデミノミコト)は山で狩をするのが上手だったのでヤマサチヒコと呼ばれました。

ある日、二人は「取りかえっこしてみよう」と話して、ウミサチヒコは山に狩に行き、ヤマサチヒコは海に釣りに行きました。
しかし、二人とも何にも捕まえられませんでした。それにヤマサチヒコはお兄さんから借りた釣り針を海でなくしてしまって困っていました。

ヤマサチヒコは自分の刀を壊して沢山の釣り針を造って「これで許してください。」と一生懸命謝りましたが、お兄さんは「なくなったあの釣り針じゃないとだめだ。」と許してくれません。

第四景

ヤマサチヒコ、シオツチノオジに送られ海神の宮を目指す
どんなに探しても釣針を見つけられないヤマサチヒコが困っていると、おじいさん(シオツチノオジ)がやってきて「どうしてそんなに困っているのか。」と聞きました。

ヤマサチヒコがわけを話すと、あっという間に船を造り、「この船で海の世界に行きなさい。」といいました。

ヤマサチヒコはおじいさんの言う通り、その船に乗って海の底深くに潜っていきました。

第五景

木の上で待つヤマサチヒコ、トヨタマヒメと会う
さて、海の世界に行ったヤマサチヒコは、海神の宮という家の前にある大きな木の上に登っていました。

そこは海の世界を守っている神様(ワタツミ・トヨタマヒコ)の家でした。すると、そこに井戸の水を飲もうとしたトヨタマヒメがやってきました。

木の上に人がいるのを見てびっくりしたトヨタマヒメは急いで家に帰って「井戸に水を汲みに行ったら、そばの木の上に男の人がいました。その人はとても立派なお顔をしていて、きっととても偉い人だと思います。」と両親に話しました。

海の神様が「あなたはどなたですか。」と聞いたので、ヤマサチヒコは「私は天から降りてきた神の子供です。」と答えました。

第六景

海の神様、ヤマサチヒコを厚くもてなす
海の神様は、ヤマサチヒコをとても大切なお客様として、たくさんのご馳走や踊りを披露したりしてもてなしました。

それからしばらくしてヤマサチヒコはトヨタマヒメと結婚して、海の神様の家で一緒に暮らしていました。

第七景

ヤマサチヒコとトヨタマヒメ
ヤマサチヒコが海の国に来て三年がたちました。
時々「はあ」と溜め息を吐くヤマサチヒコを見てトヨタマヒメが「ひょっとしてあなたは自分の家に帰りたいのですか。」と聞くと、ヤマサチヒコは「その通りだ。」と答えました。

そこでトヨタマヒメは父親に、ヤマサチヒコは帰りたいと言っていると相談をしました。

第八景

海の神様、鯛の魚から釣針を取り出す
娘から話を聞いた海の神様は、ヤマサチヒコが探しているお兄さんの釣針をみつけてあげようと、海の世界の全部の魚を集めました。

すると魚たちが「鯛が口が痛いと言って来ていません。」というのでその鯛を呼び出して口の中を見るとヤマサチヒコの針が刺さったままになっていました。

そして、この針を海の神様が取ってあげました。

第九景

ヤマサチヒコ、海神の宮を後にする
さあ釣針が見つかったので、これでお兄さんに返すことができます。

地上の世界に帰ろうとしているヤマサチヒコに向かってトヨタマヒメが言いました。

「もうすぐあなたの赤ちゃんが産まれます。赤ちゃん産む時にはあなたの所に行きますので、家を造って待っていてください。」そして、ヤマサチヒコは釣針と海の神様からもらった二つの魔法の瓊(たま)をもって、地上の世界に帰って行きました。

第十景

ヤマサチヒコ、ウミサチヒコを魔法のタマを使い、苦しめる
地上の世界に帰ったヤマサチヒコは、海の神様に教えられた通りに、釣針を投げて返しました。

お兄さんのウミサチヒコは怒って受け取らず、困ったヤマサチヒコは魔法の瓊(たま)を取り出しました。

すると海の波がザブンザブンとやってきてウミサチヒコを溺れさせました。
海に溺れるウミサチヒコは「私が悪かった。これからは何でも言うことを聞くから、どうか助けてください。」とヤマサチヒコに頼みました。

ヤマサチヒコはもう一つの魔法の瓊(たま)を取り出しました。
すると波がスーッと引いてウミサチヒコは溺れずにすみました。

第十一景

トヨタマヒメ、産屋でウガヤフキアエズノミコトを出産する
ウミサチヒコが何でも言うことを聞くようになったので、ヤマサチヒコは安心してトヨタマヒメのための部屋造りを始めました。

ところが、全部完成しないうちにトヨタマヒメがやってきて「もう産まれそうだ」といいました。そして「私が赤ちゃんを産む時に、絶対に見たりしないでください。」と頼んで、部屋の中に入って行きました。ヤマサチヒコは、初めは約束通り外で待っていたのですが、だんだん我慢ができなくなって、とうとう部屋の中を覗いてしまいました。
すると、なんとそこには赤ちゃんを生んでいる大きな鰐(ふか)がいたのです。

ヤマサチヒコに本当の姿を見られたトヨタマヒメはとても悲しんで、産まれたばかりの赤ちゃんを残して海の世界に帰って行ってしまいました。ヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコトと名付けられた赤ちゃんは、トヨタマヒメの妹のタマヨリヒメが育てることになりました。

大きくなったヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコトは自分を育ててくれたタマヨリヒメと結婚しました。
そして二人には、ヒコイツセノミコト・イナヒノミコト・ミケイリノミコト・カムヤマトイワレビコという四人の子供ができました。

第十二景

大和を平定し初代天皇(神武天皇)に即位する
ヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコトとタマヨリヒメの四人の子供たちはやがて大人になりました。ある日、カムヤマトイワレビコは兄弟と話し合いました。
「私たちの祖先は、この日本をよりよい国にするためにこの地上に降りてきて頑張ってきた。
しかし、この日本には私たちの知らない場所がまだある。塩土老翁は東の方角がよいという。みんなで力を合わせて東の方に行って、この日本全体の中心となるような場所を作り上げよう。」そうして四人は、海を渡ったり山を越えたりしながら、何年もかかって東の方角を目指しました。
長い長い旅の途中では、戦いをしなければならないときもあり、目指していた場所にたどり着いたときにはカムヤマトイワレビコただ一人になっていました。
ようやく目指していた場所にたどり着いたカムヤマトイワレビコは、そこでも最後の戦いをしなければなりませんでした。
しかし、もう自分を守って一緒に戦ってくれる兄弟はいません。
「もう勝てない。」と思った時、急に空が真っ黒になり、ピカピカに光る金色の鵄(トビ)が飛んできてカムヤマトイワレビコの弓の先にとまりました。この金色の鵄があんまりにも光るので、敵は眩しくて目を開ける事ができず戦う事ができなくなりました。
こうして最後の戦いに勝ったカムヤマトイワレビコは橿原(奈良)という場所を日本の中心とし、そこで日本で初めての天皇(神武天皇)となり、より良い日本国のために働きました。

日向神話館 拝観料

大人
600円
中学生・高校生
400円
小学生
300円
幼児
無料
割引
団体割引は20名以上。障がい者割引は半額
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